会長挨拶(2025〜2026年度 会長 小林直人)
更新日:2026年02月02日
会長挨拶
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研究・イノベーション学会会長[2025〜2026年度]
小 林 直 人
(元産業技術総合研究所理事、早稲田大学名誉教授)
今、世界は大きな変化の渦中にあります。この歴史的な転換点において、私たちの研究およびイノベーション創出のあり方にも、大きなパラダイムシフトが求められていると考えられます。
私たちが直面している変化の第一は、AI(人工知能)の深層化です。私自身、日々の研究や生活において生成AIを活用していますが、それは単なる活動支援ツールを超え、人類が蓄積してきた知識体系や思考の基盤の上に、独自の枠組みを構築しつつあります。研究やイノベーション創出におけるAI活用は、今後の社会や産業構造を左右する緊要な課題であり、当学会が先導して議論すべきテーマと言えましょう。
第二の変化は、深刻化する気候変動です。昨年(2025年)の夏、日本を襲った未曾有の異常高温は、私たちの社会環境がいかに脆弱であるかを突きつけました。本年はさらなる影響が懸念されており、人間社会と地球環境の調和を再構築するためのイノベーションは、もはや待ったなしの状況です。
第三の変化は、国際情勢の不安定化です。ウクライナやイスラエル・ハマスにおける戦争、自国優先主義の台頭など、世界は分断の危機にあります。こうした複雑な問題群を解決するためには、既存の枠組みを超えた、人間・社会における多角的イノベーションが不可欠です。
このような激動の時代において、当学会が担うべき役割はかつてないほど重要であると確信しています。当面取り組むべき重点課題として、以下の三点を掲げたいと思います。
- 国際化・国際情報発信の強化: 世界が抱える課題は一国で完結するものではありません。諸外国の研究者と真摯に議論を重ね、当学会から積極的に知見を発信するとともに、国際的な学会連携を強化するべきだと思います。
- 次世代を担う若手会員の活動支援: 現在私たちが直面している課題は、将来にわたり長期的な影響を及ぼすものです。次代を担う若手会員が積極的に参画できるよう、制度や仕組みを整え、彼らの創造性を最大限に引き出す環境を作ることが大切でしょう。
- 特徴的な課題に対する社会指針の提言: 山積する課題の中でも、特に当学会が強みを持つ領域において、集中的な議論を重ねるべきだと思います。たとえば上記課題の解決のための研究とイノベーション創出を繋ぐ新たな政策や制度のあり方について方向性を明確に示し、社会に対して責任ある提言を行うことなども重要だと思います。
最後になりますが、未曾有の変化の時代を私たちは「好機」と捉えるべきではないでしょうか。当学会員が協力して活発な議論を通じて、新たな未来を切り拓いていくことが大切だと思います。学会員の皆様と共に、解決への歩みを一歩ずつ進めてまいりましょう。
(2026年1月記)
過去の会長挨拶
2023〜2024年度 下田隆二会長(注)
2022〜2023年度 菊池純一会長
2020〜2021年度 原山優子会長
2019年度 桑原輝隆会長
2018年度 井川康夫会長
2017年度 宮崎久美子会長
(注)学会の法人化に伴い、2024年10月から始まる年度(従来の表記では2025年度)を2024年度と表記することとしました。このため前年度は2023年度と表記します。
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