会長挨拶(2022〜2023年度会長 菊池純一)

更新日:2022年01月05日

今見ぬ後世に何を残すのか、つなぎ役としての思い

研究・イノベーション学会会長(2022〜2023年度)
菊 池 純 一
(青山学院大学名誉教授)

1985年に「研究・技術計画学会」として設立され、2015年に「研究・イノベーション学会」に名称を変更した本学会は、研究開発とイノベーションに軸足を置き、科学技術、経営、政策の視点から産・官・学の学識経験者や実務家などが広く交流し・啓発しあい、学術研究を深めるとともに、多様な機能を持った「つなぎ役として新しい場」を提供し続けております。

研究開発とイノベーションの軸足においては、数百年前の産業革命に立ち返らずとも、近時、百年の歴史に鑑みても、社会システムを大きく変容させるような革新的成果の持続性の視点からしても、科学技術の分野を越えて、複数の専門家諸氏による知見の蓄積を共有することが重要である、そのように考えます。さらに、研究開発主体の自律的発意のみならず、多くの人々の一人ひとりの行動、加えて、地球サイズの社会的経済的価値観がその軸足に組み込まれるようになっています。このことは、単に社会の見直しという時代感覚ではなく、今見ぬ後世の人々に何を残すのかという選択的責務に関わることであると考えます。

本学会の活動成果は、2つの支部、11領域に渡る分科会及び研究懇談会、そして、新たな活動に係る5つのワーキンググループ等を始めとして、年次学術大会、各種シンポジウムなどなどの機会を通して、教学の場のみならず、政策立案・ビジネスなどの場に広く公開されております。今後さらに、本学会の会員による「つながりの輪」を発展させていくことを予定しております。そして、この取り組みに新たな会員が参画してくださることを切に望んでおります。

これらの活動成果を不特定多数、特定少数に発信するのみならず、それらの成果情報を必要としている方々へ届けることが最も重要であると考えます。また、難解な用語や理論から成り立つコンテンツ情報のみを届けるのではなく、より一層、読者目線での平易な解説をも添付して、広く発信することが本学会の強みでもあると自負しております。1000人規模の学会ではありますが、各会員のネットワークは累乗になるものと期待します。学会の諸々の活動に協力・協賛・協調をいただき、パートナーシップスの取り組みを持続できれば幸いであります。

また、本学会が知り得なかった未踏の領域を切り拓く方々、新たなルールを創り出そうとしている方々、熾烈な競争環境下において実践的経験を積み上げている方々との間で「智の軸足」を築きあげていく必要があると考えます。昨今の日本社会の変容に鑑みて、時間軸を意識しつつ、研究開発とイノベーションに関わる多様な「智の集積」を束ねることを進めていく所存です。

(2022年1月2日記)

 過去の会長挨拶

2020〜2021年度 原山優子会長
2019年度 桑原輝隆会長
2018年度 井川康夫会長
2017年度 宮崎久美子会長