第39回年次学術大会 ホットイシューの募集について[6月10日締切]

更新日:2024年05月22日

第39回年次学術大会 (2024年度)

ホットイシューの募集について

一般社団法人研究・イノベーション学会では、第39回年次学術大会(2024年10月下旬ごろ開催予定)の一般講演(会員による研究発表)におけるホットイシューのテーマを、会員の皆様から広く募集いたします。ホットイシューに選ばれたテーマに関わる一般講演では、4発表程度毎に15分自由討議の時間を設けます。

ホットイシューの具体的な選定基準は次のようなものです。
・時機を得たものであること。ただし、追随的ではなく、当学会としてとりあげるに相応しい先導的、先見的なテーマ・課題であること。
・社会的意義やインパクトの大きなものであること。
・公共政策と企業経営の両者を横断するテーマ或いは課題であること。

ご提案のある方は、ホットイシューのテーマとそれを提案する理由を300字以内でまとめ、2024年6月10日(月)必着で、以下のWebフォームでお送りください。会員各位からの提案を踏まえ、最終的に業務委員会にて協議し、数テーマを決定いたします。
https://forms.gle/dPyq2zicitV3gQvz7

ご自身の研究テーマには直接関わりがないものの、昨今の経済・社会情勢から見て重要であると思われるテーマをお持ちの方、あるいはご自身の研究関心・課題について、それを多少広げた議題で他の会員と討論してみたい、またそうすることが社会的にも重要であると考えている方など、会員の皆様の積極的な応募をお待ちしております。


【参考】2023年度のホットイシュー

※ これらの例示にとらわれる必要はありませんが、参考までに昨年のものを掲載いたします。

A)AIによるイノベーションへの衝撃~生成AIやLLMの課題と可能性~

近年のAI技術の発展により、従来困難であった生成AIなどが実現され、汎用性が高く定性的推論が可能なAIを誰もが入手可能となった。一方、AIはサービス産業、特に研究・教育の現場に新たな可能性を提供しつつも、急速な進展に伴い社会との軋轢も顕在化している。さらに、組織の知識創造において人間とAIとの共創にも期待が生じている。本セッションでは、近年の生成AIやLLM等のAI技術によるイノベーションマネジメントへの影響やその活用の具体的事例、それらAIに纏わる社会的・倫理的課題(ELSI)や責任ある科学技術イノベーション(RRI)の議論等について、集中的に討議する。

B)オープンサイエンス推進のための諸課題とインパクト・サイエンスへの展開

オープンサイエンス(OS)の推進は、G7科学技術大臣会合でも大きく取り上げられているように、今後国際的な協調の下で重点的に取り組むべき課題と言える。OSの推進のためには、従来型の科学との違いを考慮した評価システムの確立やインテグリティの担保が不可欠となる。また、OSの極めて動的な性質を考慮するならば、より良い研究開発エコシステム構築のために、研究アウトプット・アウトカム、投資情報など研究開発に関連各種情報を収集・分析するインパクト・サイエンスの活動も必要となる。本セッションでは、今後のOSの推進の基盤となる上記をはじめとする諸課題について、事例の共有を行うとともに、今後の在り方についても議論したい。

C)リスクマネジメントと研究インテグリティー

2023年5月のG7仙台科学技術大臣会合においても、「信頼に基づく、オープンで発展性のある研究エコシステムの実現」が掲げられ、今後の科学技術政策の方向性として、「科学研究の自由と包摂性の尊重とオープン・サイエンスの推進」、「研究セキュリティとインテグリティの取組による信頼ある科学研究の促進」、「地球規模課題解決に向けた科学技術国際協力」が提唱されている。本セッションでは、アカデミア法務の対象であるリスクマネジメント・コンプライアンスにかかるテーマ、産学連携のリスク管理、知的財産戦略、生物遺伝資源や研究データの利活用、経済安全保障、研究インテグリティ確保の方策、研究不正対応、ハラスメント対応等について議論する。

D)次世代の技術経営

近年、技術の進歩のスピードが加速するとともに、気候変動や感染症蔓延や安全保障などの不確実性も増加している。このような環境変化に対応するため、技術経営のあり方を抜本的に変えていく必要がある。例えば、技術をより戦略的に活用することが重要になり、自社にとって最適な技術を戦略的に選択し、技術を活用するための仕組みや組織も整備する必要がある。また、オープンイノベーションの活用や技術を活用するための人材やノウハウを獲得することも重要である。さらに、サステナビリティなどの社会課題に対して技術に関連してどう対処していくかも重要である。本セッションでは、このような次世代の技術経営のあり方について議論したい。

E)ウェルビーイングと次世代都市デザイン

先端的ICTを始めとする技術の活用とマネジメントの高度化は、地域が持続的に自らの課題を解決し、新しい価値を創出し続ける機会を提案している。これは都市のスマート化と呼ばれ、地域内データ共有・活用を通じた産業育成、新しい価値観を伴う技術利用(空飛ぶクルマ構想など)、地域資源循環の促進、シビックプライドの醸成を通じた住民起点のまちづくりといった、次世代都市デザインに向けたアイデア創造促進が期待されている。ここで重要なことは、こうした地域のスマート化技術ならびに関連サービスが、生活者のウェルビーイングを的確に捉え、それを生活者自らが持続的に醸成できるよう効果的に支援していけるかにあろう。本セッションではこの意識に基づき、次世代都市のデザインをウェルビーイング、技術経営、サービス経営に関わる視点で議論したい。

F)科学技術における生産性向上

我が国における研究力の国際競争力の低下が問題視され久しいが、研究力強化に対する論点や課題意識はバックグラウンドの違いから無数に存在している。そのため、結論はリソース不足(例えば研究資金や研究関連人材の不足)といった抽象的なものとなりやすく、効果的な政策立案につながっているとは言い難い。本セッションでは、「科学技術における生産性」に焦点をあて、研究におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)、リソースの共有・再分配による研究開発活動の活性化、及び研究開発エコシステム等の好循環の実現が研究力強化にどのように寄与するかについて議論を行う。

G)新たなイノベーションの創造に向けての倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への実践的対応

科学技術が人や社会と調和する社会に向けて、科学技術がもたらす倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)を予見し解決することは重要である。一方、公害・地球環境への対応や高齢化社会への対応がイノベーションをけん引したのと同様に、ELSIへの対応がさらなるイノベーションに繋がることも予見される。本セッションでは、さらなるイノベーションに繋がるプロアクティブなELSIへの実践的対応事例を取り上げる。

H)スタートアップと地域創生

バブル崩壊後の「失われた30年」は、わが国の経済成長に長期に渡る停滞を与えた。政府は、「新しい資本主義のグランドデザイン」の閣議決定((2022年6月7日)を基にスタートアップ10万社育成を目指す「スタートアップ育成5か年計画」を11月に決定した。そして、「本年をスタートアップ元年とし、戦後の創業期に次ぐ、第2の創業ブームを実現する」として、スタートアップへの投資額を2027年度に10兆円規模に増額するとしている。大学・研究機関、企業・企業集団、自治体にはスタートアップに対する多くの経験が蓄積されている。この経験の集大成によって起業の成功率を高めることが何よりも必要である。本セッションでは、スタートアップを先導する企業の発表を基に議論したい

I)我が国の成長を支えるイノベーション・コモンズ~研究環境構築と人材育成~

現在、政府は、大学ファンドや地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージなど強力な支援策を打ち出している。今後、持続的なイノベーションの創出を促すためには、コアファシリティ化など研究基盤のシステム化による異なる組織や領域が連携する場の提供が重要となる。加えて、大学や企業、地域の特色と強みを活かした共創拠点化など、創造的アイデアの交流を促すイノベーションハブ機能、持続可能なイノベーションエコシステムの構築も重要な視点となる。加えて、これらを支えるURAや技術職員といった専門家の育成も重要な課題である。本セッションでは、これら我が国の成長を支える環境構築と人材育成について多面的な議論を行いたい。

J)ヘルスイノベーション・エコシステム

今般のパンデミックでは、ワクチン、検査薬、治療薬などのイノベーション創出にかつてない期待が寄せられた。ただし、製品化成功確率が他分野と比較して相対的に低いヘルスケア領域では、一定の失敗や試行錯誤を許容してでも多くの挑戦に取り組むことが実現可能性を向上させると考えられる。本年6/16に閣議決定された骨太方針2023においても、デジタル技術を活用したヘルスケアイノベーションの推進やデジタルヘルスを含めた医療分野のスタートアップへの伴走支援などの環境整備(挑戦に伴う失敗を許容する基盤としてのエコシステムの形成)への取り組みが掲げられている。本セッションでは、不確実性が優勢のヘルスケア分野において、エコシステムが機能するための冗長性、インパクト投資、薬事制度論等の仕組み・取り組みについての議論を行う。