第40回年次学術大会 ホットイシューの募集について[6月2日締切]
更新日:2025年05月13日
第40回年次学術大会
ホットイシューの募集について
一般社団法人研究・イノベーション学会では、第40回年次学術大会(2025年11月8日〜10日開催)の一般講演(会員による研究発表)におけるホットイシューのテーマを、会員の皆様から広く募集いたします。ホットイシューに選ばれたテーマに関わる一般講演では、4発表程度毎に15分自由討議の時間を設けます。
ホットイシューの具体的な選定基準は次のようなものです。
・時機を得たものであること。ただし、追随的ではなく、当学会としてとりあげるに相応しい先導的、先見的なテーマ・課題であること。
・社会的意義やインパクトの大きなものであること。
・公共政策と企業経営の両者を横断するテーマ或いは課題であること。
ご提案のある方は、ホットイシューのテーマとそれを提案する理由を300字以内でまとめ、2025年6月2日(月)必着で、以下のWebフォームでお送りください。会員各位からの提案を踏まえ、最終的に業務委員会にて協議し、数テーマを決定いたします。
https://forms.gle/7oj3r48dpczJqsKR8
ご自身の研究テーマには直接関わりがないものの、昨今の経済・社会情勢から見て重要であると思われるテーマをお持ちの方、あるいはご自身の研究関心・課題について、それを多少広げた議題で他の会員と討論してみたい、またそうすることが社会的にも重要であると考えている方など、会員の皆様の積極的な応募をお待ちしております。
【参考】昨年度のホットイシュー
※ これらの例示にとらわれる必要はありませんが、参考までに昨年のものを掲載いたします。
A)AIと人間の共進化のための課題と展望
近年、AIの進化は目覚ましく、多くの分野でその力を発揮しています。AIは人間の生活を豊かにし、社会経済や地球環境の発展に大きく寄与する一方で、その急速な進展が一部では脅威とも捉えられています。本セッションでは、AIと人間がどのように協力し合い、共に成長していけるかを多角的な視点から議論を深める場を提供します。そこで、AIの技術水準の現状を評価し、AIが何をどこまでできるかを明確ににし、またそれに対して人間がどのように行動すべきかについて議論し、持続可能な未来に向けた具体的なアプローチを模索します。また、科学者や技術者がAIと協働する際の具体的な役割と、AIと人間との相互補完的な関係の方向性も探ります。
B)技術革新に頼らないイノベーション
シュンペーターが提唱した「新結合」では、新しい財貨の生産に加え、新しい生産方法の導入、新しい販路の開拓、原料の新しい供給源の獲得、新しい組織の実現の5つのパターンについて述べられており、技術革新のみならず、さまざまなイノベーションの創出が望まれる。本セッションでは、市場結合型イノベーション、顧客中心のアプローチ、エシステムの構築、アジャイルイノベーションなど、技術革新に頼らずに経営的なインパクトを強める具体的なイノベーションの手法と実例を共有し、グローバル市場で競争力が低下している日本が目指すべき新たな戦略について議論する。
C)パンデミック環境において組織が失ったこと、得たこと
2020年初、ダイヤモンド・プリンセスから始まったパンデミック環境は日本の組織活動に多様な試練の機会を提起した。厚生労働省から2023年4月27日に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る新型インフルエンザ等感染症から5類感染症への移行について」とする通達が出され、1年以上が経過した現時点において、パンデミック環境において組織が失ったこと、得たことについて、整理・分析することが必要である。本ホットイシューでは、「産」「学」「官」「地域」における事例研究を通じて分析し、取り組まれてきた諸活動のまとめを行うことにより、今後への指針と致したい。
D)再生的経済社会に向けた技術経営
持続可能性から再生的経済社会への転換を目指す中、グローバルな議論はカーボンニュートラル(CN)、サーキュラーエコノミー(CE)、ネイチャーポジティブ(NP)の観点で進められている。日本ではCNやCEの議論が進んでいる一方、NPはまだ初期段階である。これらの議論は生産側だけでなく消費者の参加が重要だが、グリーンウォッシングなどの問題があり、消費者の動機づけが課題となっている。また、CEについては資源管理やリスクマネジメントなど幅広い視点からの議論が必要だが、現状では不十分である。このホットイッシューでは、CEの課題や論点を議論し、NPの技術経営に向けた取り組みについても討議を行いたい。
E)デジタルツインの Pros & Cons
デジタルツインは気象や火山活動など地球上の様々な自然現象から技術設備、原材料加工、製造、そして完成した技術製品、システムなどの人工物、さらには人間の生理機能や認知機能の再現など、多様な事象への応用が可能であり、新たなインフラ技術としての期待がもたれている。しかし、様々な事象を精緻に再現することには技術的な利点のみならず、本来なら秘匿すべき機微な情報や個人のプライバシー、尊厳にかかわる情報の予期せぬ流出や介入などのリスクも伴うことが予想される。本ホットイシューは、デジタルツインをイノベーションに適正に活用するための利点とリスクについて議論の場を提供できる。
F)イノベーション・エコシステムにおける標準のリ・ポジショニング
イノベーションの実現において、標準は、社会実装及び普及のフェーズに向けた打ち手として有効であるが、その目的意識がイノベーションの実現や競争戦略としての位置づけとリンクしていないケースが散見される。その要因の一つとして、標準が経営・事業・R&D戦略として認識されておらず、日本のイノベーション・エコシステムの中に標準が位置づけられていないことが挙げられる。知的財産基本計画2024においては、標準の戦略的活用の推進が重点施策の一つとして挙げられている。当学会においても、昨年「標準化の科学」研究懇談会が立ち上げられた。本ホットイシューでは、市場創出やイノベーションの実現に向けた標準の在り方や、経営者等の戦略意思決定者への認識共有と人材育成の在り方について討議する。
G)産業界主導による企業間・異分野連携促進と人財育成
日本は諸外国と比較してスタートアップ文化やビジネスエコシステムで遅れを取っていると言われます。新市場創出、多様なスキル獲得、柔軟な思考育成、人的資本の有効活用、技術革新の促進など、日本の今後の経済成長と持続可能な社会の形成において、産業界主導による企業間:異分野連携およびそれによる人財育成は、国際的な日本の位置づけを高める上でも重要と考えられます。本セッションではそのための挑戦や展望、現状の問題点などを議論いたします。そして、企業におけるオープンイノベーション拠点の設立、企業間あるいは異分野間でのコンソーシアム形成、企業による若手研究者への助成など、の在り方についても探索します。
H)産業立地と地域経営の新たな展開
世界での半導体需要の高まりにより、台湾TSMCの熊本工場、次世代半導体の国産化を目指すラピダスの北海道千歳工場、キオクシアの岩手県北上工場など、海外からの投資も含め、日本における半導体拠点をめぐる工場誘致が注目されている。これらの工場誘致は、新たな雇用と経済効果が見込まれ、地域創生モデルとして期待されている。企業誘致や起業城下町についての議論はこれまでもあったが、本セッションでは、経済安全保障、再生エネルギー、電力供給源、AI・ビッグデータ、産官学民連携、オープンイノベーションなど、現代の新たな視座で、工場立地、産業集積、エコシステムなどとともに、新たな地域経営のあり方について議論する。
I)イノベーション促進のためのダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン
今後、少子高齢化とそれに起因する人手不足が常態化する中で、他国と比肩し得るレベルでイノベーションを促進するためには、優秀な研究開発人材の確保が不可欠となる。能力があっても雇用機会に恵まれなかった未活用人材の有効活用を推進し、量的な確保を図ると共に、人材の多様性に富んだより創発的な研究開発環境を構築する、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンの視点は、そのための一方策となる。本イシューでは、性別・年齢・国籍・人種等の属性だけではなく個々人の状況・能力・価値観等も踏まえた、多様な雇用形態や支援の取組や、そのイノベーションへの効果の評価、推進施策等、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンに関連する課題を議論したい。
J)いま「研究力」をどう捉えるか ─エビデンスをめぐる多様な視点
現在、我が国において研究力強化はSTI分野の最重要の政策課題の一つとなっている。だが、研究力に関わるエビデンスを的確に解釈し、多様な専門知・実践知と統合しつつ政策課題に適用していくことは容易ではない。各分野・セクターのステークホルダーはエビデンスに対して異なる視点をもち得るし、そもそも研究力とは何かという認識もさまざまである。したがって研究力強化に関わる政策立案は、多様なステークホルダーの相互理解を確保しながら、幅広いエビデンス及び知見を踏まえてなされる必要がある。本ホットイシューでは、我が国にいま求められている研究力とは何か、そうした研究力を実現するための政策立案においてエビデンスはどう活用されるべきかを多面的に議論する。
K)経済安全保障、地政学、グローバルサウス
科学技術・イノベーション政策においてグローバルサウスが今までと異なる側面から議論されている。今までは海外直接投資やサプラーチェーンに起因する途上国への技術移転(伝播)や能力構築、キャッチアップ過程について研究が中心的であったが、近年では経済安全保障というという切り口から、サプライチェーン、技術・知識循環に係る人や技術の流れとグローバルサウスの関与に関心が寄せられている。なお、グローバルサウスは、気候変動、感染症対策など地球課題への対応においては欠かすことのできない協働パートナーである。さらにデジタル技術など新興技術と用いたスタートアップなどの分野では、課題の多い途上国では革新的なビジネスモデルの展開がなされている。ここではグローバルサウスを背景に起こりつつある科学技術・イノベーションに関わる様々な研究を取り上げ、理解を試みる。